㈱トミーウォーカーのPBW:TW2シルバーレインのPCや背後が日々を徒然ったり依頼のプレイングを書いたりするブログ。
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信じたくなんてなかった。
だってアサミは、この学園で偶然知り合って、惚れて、
意を決して告白して、やっと付き合う事が出来た女の子で。
……そんな、出会い方だったのに、まさか俺の妹……だなんて。
そんなの、誰が信じるかよ。
誰も信じねぇっつぅの。
「結婚しよう」
桜並木の下でそう言うと、はにかみながら頷いてくれたアサミ。
この女の子を、俺は一生、生涯をかけて守るのだと。
そう、思ったのに。
親父の野郎、ふざけんな。
何が「お前の妹だよ」だ。
何も言えずに唖然としていたら、さらに続いた言葉がまた嘘のようで。
「お前には、許嫁がいるんだよ」
おいおい今時許嫁って。
つーか許嫁とかいるような家庭じゃねぇだろ、普通の中流家庭だろ、ウチは。
畳みかけるかのように許嫁を紹介される。
何だよ連れて来てんじゃねぇよふざけんなよマジでつーかなんで。
許嫁として俺の目の前に現れたのが、親友のように思っていた後輩の……血ーたん、なんだ?
「べ、別にあんたなんか大好きなんだから、そこんとこ勘違いしないでよねこの(ピ―――)野郎っ☆」
血ーたんが何かを言っている。
途中自主規制音が入ってよく聞き取れなかった。今何て言った?
というかツンデレと見せかけてデレデレな血ーたんである。どうした。どこ狙いだ。俺狙いなのか?
わけがわからない。
何がどうなって、こうなって、今に至る?
嫌だ。こんな現実は―――認めたく、ない。
「うわぁあぁあああああああ――――ッ!!!」
俺は断末魔の如く絶叫を上げると、そのまま家を飛び出した。
現実を否定するかのように。
現実から逃げるように。
どれくらい走ったのか。
気が付けば、周りは見知らぬ風景だった。
……いや、本当は知っている場所だったのかもしれない。
だが、俺がこの町を離れている間に変わっただけなのだ。
それは、知らないという事と、どう違うのだろうか。
唐突に感じるのは時の流れ。
どうしようもない焦燥感を覚え、目に熱い物を感じた。
泣くものか、絶対に泣くものか。
目を擦ると、ふと、隣に人がいる事に気付いた。
何時の間に居たんだろうか。
それとも実は最初から居ただけで、俺が気付かなかっただけなのだろうか。
その人が、不意に口を開いた。
彼の凛々しいアホ毛が、風に揺れる。
「――この町は、好きですか?」
時が、止まった気がした。
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